2019年に放送された「椿の花咲く頃」は、2019年KBS演技大賞ではコン・ヒョジンが大賞、カン・ハヌルが最優秀賞、作家賞、助演賞、新人賞、ベストカップル賞など12冠を獲得しました。
また、2020年百想芸術大賞ではカン・ハヌルが最優秀演技賞、TV部門では大賞を受賞し、ウェルメイドドラマ(出来や構成の良い作品)として認められた作品です。
「サムマイウェイ」を手掛けたイム・サンチュンが脚本の「椿の花咲く頃」のあらすじとネタバレ含む感想・見どころをご紹介します。
椿の花咲く頃のあらすじ
オンサンには未解決の連続殺人事件があった。
犯人は“ジョーカー”と呼ばれており、皆に恐れられ不気味がられていた。
そんな中引っ越してきた、ドンベク(コン・ヒョジン)と息子ピルグ(キム・ガンフン)。
ドンベクはここで「カメリア」という名のスナックをオープンするのだが、突如現れた未婚の母子の登場に街の住人たちは戸惑いを隠せず、妬みと偏見を持って接してしまう。
ドンベクは教会で知り合ったエステティシャンのグモクの店へ行った際、“ジョーカー”の犯行を目撃することになる。
幸いスプリンクラーが作動し難を逃れたドンベクだったが、“ジョーカー”の発した独特な咳を忘れることはできなかった。
それから数年後。
ソウルからオンサンに左遷になった警察官のヨンシク(カン・ハヌル)。
そこで偶然ドンベクに出会い一目ぼれしたヨンシク。
ドンベクも彼のひたむきさに心を奪われるようになるのだが、踏み切れずにいた。
二人の恋の行方は?
果たしてジョーカーはいったい誰…?
椿の花咲く頃のネタバレ含む感想
犯人についてはこちらの記事に書いていますので、こちらもチェックしてくださいね!
色んな要素の詰まった作品というのは山のようにありますが、ここまで完成度の高い作品は少ないのではないでしょうか?
ラストに向かっていくにつれ、たくさん散りばめた伏線たちを綺麗に集めていくのはもちろんのこと、その一つ一つを丁寧に扱っているのも魅力でした。
ストーリーはドンベクとヨンシクをメインに進んでいきますが、視点がその二人だけじゃないという点が実に面白かったです。
ドンベクの母、ヨンシクの母、ヒャンミ、ピルグ、カン選手、ジェシカ、ギュテにホン弁護士。
誰もがこの作品でしっかりと生きていたし、みんなが主役でした。
1話で亡くなったのは誰だろう?ジョーカーは誰なんだろう?というちょっと気味悪いサスペンスと並行して、ドンベクとヨンシクのほっこりしたラブストーリー(甘ったるくないのが良い!)に、親子や家庭の問題そして家族愛といった、それぞれのストーリーがあり、心の中をも映し出していてとても興味深かったです。
脚本だけでなくキャストの皆さんも本当に素晴らしくて、こんなに満足した作品は久しぶりでした。
まさに“愛を肌で感じられる作品“でありながら、押し付けがましくなく、湿っぽすぎない作品です。
むさくるしいほど熱くて超ストレートな“純朴セクシー”、ヨンシクがいいスパイスでした。こんな人が近くにいたらすごく元気になれると思います。
ドンベクは俯きがちでモジモジしながらも、言いたいことはハッキリというところが魅力なんですが、ヨンシクと接することでどんどん前を見ていくようになるんです。
「今まで窮屈に生きていたけれど、真っすぐすぎるヨンシクになら心の内を見せられる。」そんなドンベクの気持ちが伝わってきます。
そんな風にドンベクを変えた奇跡のような男、ヨンシクは、個人的に韓ドラ史上最高の男性です!(個人的1位はトッケビさんです)
余談ですが、付きまとってくるヨンシクにドンベクが「好きなタイプはコン・ユです」と言い、ご丁寧にトッケビのOSTまで流れたときは胸が熱くなりました!
「人間がトッケビに勝てるはずがない…」と撃沈したヨンシクでしたが、それで終わるような男ではなかったですね笑
「あとから惚れても知りませんよ!」と捨て台詞を言うヨンシクが愛らしかったです^^
椿の花咲く頃のネタバレ含む見どころ①オンサンの女性たち
小さな田舎町。商売を切り盛りしている女性たちはみんな血気盛んで、団結力がものすごく強く、個性的なメンバーばかり。
私が注目したのは、ピルグの友達ジュンギの母、パク・チャンスクを演じたキム・ソニョンさんです!
色んな役を演じていらっしゃるのですが、今回も強烈キャラクターで最高でした!!
ドンベクがピルグを預かってほしいとお願いするんですが、その時のシーンが一番好きです。
「ピルグとジュンギは親友なんだから、なんでそんなに遠慮するのよ?遠慮なく頼みごとをしてこそ情が移って親しくなれるの。食事の用意だけじゃなくて、うんこも拭いてあげるわ!」というセリフに、笑いをこらえているようなドンベク(この時はヒョジンさんだったかも笑)も可愛いので必見です!
椿の花咲く頃のネタバレ含む見どころ②いろんな愛
ドンベクとピルグ、そしてドンベクのお母さん、また、ピルグとジョンニョル、ヨンシクとその母など、親子の愛がたくさん描かれていましたね。
私自身にも子供がいるので、親子の話には泣かされました。
またドンベクとヒャンミ(ソン・ダムビ)の繋がりもジーンときました。
幼少期に出会っていた二人だけど、お互い過去の話はしなかったんでしょうね…でもうっすら感じていたような気がします。
だからドンベクはヒャンミを大事にしたし、ヒャンミもそれに応えようとしていましたね。
ギュテ(オ・ジョンセ)とジャヨン(ヨム・ヘラン)の夫婦愛も面白かったです。
この作品の人たちは、みんな中身がしっかり見える“人間”です。
ギュテなんて特にそうで、「人から良く思われたい、尊敬されたい」という思いから虚勢を張っちゃうような人です。
だけど、自分より身分の高い人や妻の前では委縮してしまうんですよね。
そんな情けないギュテをオ・ジョンセさんが演じているので、ギュテはさらにギュテになったのではないかと思います!
そして弁護士であり、仏頂面だけど誰よりも夫を愛している妻ジャヨンを演じるのはヨム・ヘランさんです。
姑との微妙な関係もヨム・ヘランさんならではの圧倒的な演技力で見ものでしたね!
変にこじれた夫婦の間柄も、最後にはスッといい関係になれたのが嬉しかったです。
椿の花咲く頃のネタバレ含む見どころ③ドンベクを取り巻く男たち
ドラマにはドンベクに惹かれる男性が多数出てきます。
カメリアの常連さん達もそうなのですが、やはりヨンシクとジョンニョルの2人の関係性に注目です。
まずは、ヨンシク。
ヨンシクは、オンサンに戻ってきてからドンベクに一目ぼれして以来、ずっとドンベクに付きまとっていて、ドンベクがピンチの時はすべてを放って駆け付けます。
ヨンシクの、元気になれるような心からの言葉に、どんどん強くなってくドンベクと、そんな姿を見て「愛らしくてたまらないーーー!」と叫ぶヨンシク。
そんな2人は素敵な関係性だなぁと思いました。
ヨンシクはドンベクとの将来も夢見てるし、ピルグの父親になる決心だってあります。
だからピルグの父親であるジョンニョルとヨンシクのシーンはピリピリとして緊張感がありました。
ヨンシクにしてみたら、不安材料でしかないですものね。
そしてジョンニョル。
ドンベクの元カレであり、ピルグの父親です。
とはいっても、ジョンニョルはドンベクが自分の子供を産んでいたなんて知りませんでした。
ドンベクと別れた後に結婚した妻のジェシカとは上手くいってないし、またピルグが野球をしているというのもあって、しょっちゅうオンサンにやってきては野球に口出したり、寄付したり、ジョンニョルなりに何かしたいという気持ちはわかるのですが、どうもカラ回ってるというか、不器用なんです(笑)
その不器用さ故に、勘のいいピルグはジョンニョルが自分の父親だと気が付いてしまうほどでした。
椿の花咲く頃のネタバレ含む見どころ④息子ピルグとの愛
ずっとドンベクと二人で幸せに暮らしてたし、お母さんのことが好きすぎるピルグ。
野球チームの友達にも「ほら、アイドル並みに可愛いって言っただろ?」と自慢し、「なんだよ、その髪型…ポニーテールが可愛いのに!」と母親をべた褒めし、ヒャンミに向かって「どうして僕のお母さんはあんなにかわいいんだろう…」とつぶやくほど誰よりもドンベクを愛しています。
だから、ドンベクのことを好きだというヨンシクとジョンニョルのことが嫌いです(笑)
それをズバッと言うんですよね、ピルグのこういうところ大好きです。
ピルグが野球の試合で理不尽な理由で責められた時も「そっちが最初にやったんだろ!」とハッキリ言うのですが、やっぱり子供なので最後まで戦えず困っている所に、救いに来てくれたのはジョンニョルではなくヨンシクでした。
この時のヨンシクの登場シーンがめちゃくちゃカッコよくて、それはきっとピルグもそう思ったはず!
ヨンシクが、ピルグが殴られたことに抗議すると「あんたの子か?」と聞かれるのですが、「そうさ、僕の子だ!」ときっぱり言い切ったんです!
ちなみにその時ジョンニョルはサイン攻撃に合っていました(笑)
この日以来ヨンシクへの態度が少し和らぐんです。
ピルグがヨンシクのことを受け入れた決定的なシーンでした。
また、「ドンベクを自分が守る!」という意識が強いピルグだからこそ色々と考えて我慢していることが多いのですが、それを一気に吐き出した時の号泣したピルグを観た時には一緒に号泣してしまいました。
ピルグのドンベクを思う気持ちも伝わりましたが、それを演じているキム・ガンフン君の演技力のすばらしさも伝わりました。
椿の花咲く頃のあらすじとネタバレ含む感想・見どころは?まとめ
派手な演出はないからこそ、リアリティさを強く感じる作品だと思います。
これはただのラブストーリーではないし、単純なサスペンスでもありません。
自分や他人、家族、色んな人の存在を認めて受け入れ、思いやって、人生そのものが奇跡だと言えるような人生を歩んでいきたいですね。