『太陽を抱く月』は韓国で100万部以上の大ベストセラー小説を原作にした見応えたっぷりのファンタジー時代劇で最高視聴率も46.1%を記録した2012年の超話題作となりました。
主人公には韓流四天王と言われるキム・スヒョン、そしてヒロインには『赤と黒』で話題となったハン・ガインが演じた新感覚で楽しめる時代劇です。
朝鮮王朝時代の架空の王と、記憶を失い巫女として生きる女性の切ない純愛物語をベースに、三角関係や陰謀や権力、変わったところでは呪術などが加わり見応え抜群のドラマになっています。
今回はそんな「太陽を抱く月」のあらすじとネタバレ含む感想・見どころを紹介していきたいと思います。
太陽を抱く月のあらすじ
弘文館大提学の父ヨンジェ(ソヌ・ジェドク)の娘ヨヌ(ハン・ガイン、少女時代はキム・ユジョン)はある日、科挙の試験に主席合格した兄のヨム(ソン・ジェヒ、少年時代はイム・シワン)の任官式を見るため母シン氏(ヤン・ミギョン)と共に宮殿を訪れた。
その時、偶然にも勉強から抜け出し身分を隠した世子のフォン(キム・スヒョン、少年時代はヨ・ジング)は庭でヨヌに出会い会話をかわすうちに一目惚れをしてしまう。
同じくフォンの異母兄である陽明君(チョン・イル、少年時代はイ・テリ)もヨヌに思いを寄せるようになった。
そんな中、フォンの妹でやんちゃなミナ王女(ナム・ボラ、少女時代はチン・ジヒ)の遊び相手としてヨヌと大王大妃ユン氏(キム・ヨンエ)の親戚にあたるデヒョン(キム・ウンス)の娘、ボギョン(キム・ミンソ、少女時代はキム・ソヒョン)が宮中に出入りするようになるが、ミナ王女に気に入られたヨヌをボギョンがライバル視するようになる。
やがて世子嬪撰びが始まり、ヨヌとボギョンの二人が候補に上がったのだが、権力を維持しようと考えた大王大妃は自分の甥の娘のボギョンを強く推すが、賢く、優しいヨヌが試験に合格し世子嬪になる事が決定した。
この事が気に入らない大王大妃はデヒョンと結託し、朝鮮最高の巫女と言われる星宿庁の国座ノギョン(チョン・ミソン)にヨヌに呪術をかけて殺してしまうよう密かに命ずる。
これにより、ヨヌは原因不明の病に犯されて実家に戻された後、父ヨンジェの腕の中で亡くなってしまう。
ヨヌの代わりに世子嬪となったボギョンは大喜びなのだが、ヨヌの事が忘れられないフォンはボギョンの事を全く相手にしないどころか、ヨヌが亡くなってしまったのは自分のせいだと落ち込み何年も苦しみ続ける。
8年後、驚く事に亡くなったはずのヨヌは記憶を無くした巫女としてノギョンに育てられていた。
そこから運命の歯車が回りはじめ、思わぬ形で王となったフォンに再会する事になるのだが…。
太陽を抱く月のネタバレ含む感想
このドラマは架空の朝鮮時代の若き王の初恋物語を描いたもので、ファンタジー要素がたっぷりで内容も分かりやすく20話なので飽きる事もなくとても楽しめました。
特にそれぞれの幼少期を演じた子役たちがみんな可愛くて…。
ヨヌの少女時代は子役としてあまりにも有名なキム・ユジョンちゃん。そしてボギョンの少女時代はキム・ソヒョンちゃん。
キム・ソヒョンちゃんはこのドラマの中ではちょっと曲がった性格の子を演じていたので笑顔も無くてあまり感じは良くなかったのですが「君の声が聞こえる」と言うドラマの中では正義感が強いとてもいい子を演じていて表情もすごく可愛いです。
また、キム・ユジョンちゃんは、このドラマの後にも数々のドラマに出演しています。同じ時代劇で「雲が描いた月明かり」では男装のヒロインを演じ、凛々しくも可愛らしいラオンを演じています。
役により色んな人格を使い分けられるなんて、さすがだな~と思います。
そのヨヌとボギョンが初めて宮殿に呼ばれた時に、精一杯のおめかしをして並んで歩く姿が最高に可愛かったです。
韓国の時代劇は小道具も衣装もいつ見てもカラフルで豪華なので見るのが楽しみです。
それから、可愛いな~と思ったのがヨヌの兄、ヨムの少年時代を演じたイム・シワン君。
K-POPアイドルでZE:Aのメンバーですが、まさに美少年で時代劇ファッションも完璧にきまってひと際目立って輝いていました。
あどけない表情の世子を演じたヨ・ジング君から強く立派な王を演じるキム・スヒョン君への移行も見応えがあり、その安定した演技っぷりが強く印象に残り、このドラマを見てから気になる俳優さんの一人となっています。
大人になりウォルと言う名の巫女になるヨヌを演じているのはハン・ガインさんですが、声が低くてどのセリフも抑揚がなくボソボソと喋っているように感じられたのがちょっと残念でしたが、目がクリクリでお顔立ちが可愛らしくて目の保養になりました。
ドラマの中では分かりませんが、ハン・ガインさんの私服姿は、あまりにもスタイルが良すぎてビックリです。
さらに「マイ・ヒーリング・ラブ」に出演されていたイケメンのヨン・ジョンフンさんの奥様だったと知った時は二度ビックリ!
ドラマの内容のほうは、フォンとヨヌの初恋が叶って欲しいと言う期待もむなしく、強欲な大王大后とその甥のデヒョンによって可哀想な事にヨヌの命が危険にさらされてしまいます。
しかし、巫女のノギョンが大王大妃の命令に逆らえないので最初は呪術をかけてヨヌを殺したかのように見せかけてから生き返らせると言う、一種の仮死状態のようにさせて、まだヨヌが温かいうちに墓を掘り起こして助け出し手元に置いて育てたのには驚きました。
これには訳があり、陰謀に巻き込まれた親友アリからの「ヨヌを守って欲しい」と言う遺言を守るために危険を承知の上で考えて実行した方法でした。
厳しいながらも誰よりも正義感と情の深いノギョンにはとても好感が持て最後まで存在感が大きかったです。
このような想像もつかないような演出により、ヨヌとフォンの再会へとストーリーは動き始めるのですが、再会してもヨヌは記憶を失っているし、フォンもヨヌに瓜二つのウォルに驚くものの、本人は「私はただの巫女だ」と言い張るし…。
いつ事実が判明して二人が結ばれるのだろうか?と、そのあたりがとても、もどかしく思えました。
このドラマの最終話は特に見応えがあり、それぞれの人物の事が丁寧に描かれていたと思います。
全てが本来あるべき場所に元通りおさまったと言う感じで、こちらまでホッと肩の力が抜けて思わず顔がゆるんでしまいました。
王を太陽に、それを優しくつつむ王后を月と表現したり、まるでおとぎ話のような空想ロマンス。
そんなところからも時代劇にあまり興味のない多くの若い人たちからも支持され、驚くほどの高視聴率を叩き出したのであろうと言う事にも納得できました。
太陽を抱く月のネタバレ含む見どころ①悲しくも最後まで立派な陽明君
フォンの異母兄弟の陽明君は小さい頃から父親である王に愛情をかけてもらえず、欲しいものは弟のフォンが全て手に入れて、自分はひたすら我慢しながら生きていました。
なのに、自分を慕っているフォンの事もとても可愛がると言う本当に優しい心の持ち主です。
そんな彼がヨヌの事を好きになってしまってからは、ヨヌさえ傍に居てくれれば他のものは何も望まないと思い、勇気を出して王にヨヌと結婚をさせて欲しいと頼むのですが、その願いも結局は聞いてもらえず、また我慢をして身を引き離れていきます。
その姿が何とも気の毒でたまらないです。
一時は自分の立場を恨み弟を憎みもしますが、やっぱり彼はどこまでも誠実で優しかった!
最終話で弟を助けて反乱軍に立ち向かい、最後は自分が消え去る事で王である弟を立てる事を選んだその強い意思と情の深さは健気で切なくなります。
ちなみに陽明君を熱演したチョン・イルさんは端正な顔立ちのイケメンですが「ステキな片想い」と言うドラマの中での現代姿もなかなか爽やかな好青年です。
他にも色んなドラマで活躍されている才能豊かな俳優さんですよね!
太陽を抱く月のネタバレ含む見どころ②厄受け巫女と言う風習
記憶を無くして巫女になっていたウォル(ヨヌ)は、体調がすぐれないフォンの回復をはかるため、厄受け巫女としてフォンが眠った後に枕元で待機させられます。
この時の厄受け巫女と言う聞きなれない言葉、一体どんな意味なのでしょう?
厄受け巫女は人間札とも呼ばれているようです。
その意味は厄除けの札、日本で言えば紙で出来た人形で病気の子の身体を撫でて、穢れ(けがれ)をその紙に移し、川に流して厄払いする”流し雛”のようなもの。
「太陽を抱く月」では、その”ひとがた”を巫女でやらせようと言う事のようです。
そのためウォルの事を人間ではなく「呪符」だと言うシーンが何度か出てきます。
人間なのにお札扱いを、しかも呪いや厄を受ける身代わりにさせられるだなんて危険でおぞましくてゾッとしてしまいます。
太陽を抱く月のネタバレ含む見どころ③朝鮮時代の打ち上げ花火
このドラマは架空の時代を生きた王や若者たちのファンタジーと言う設定だけあって、メルヘンチックなシーンも時々登場して思わず笑顔にさせてくれるのですが、ある時は突然、ほんの一瞬ですが夜空に綺麗な打ち上げ花火が上がってビックリです。
朝鮮時代にもう花火があったの?と一瞬思ってしまいましたが、調べてみると韓国では高麗時代に花火の記録が出てきて、李氏朝鮮時代には花火の技術がかなり発達し、中国からの使者をもてなしたという記録もあるそうです。
日本では江戸時代に入ってから花火が観賞用として楽しまれるようになったそうですよ!
このドラマの中での花火もとっても綺麗でまさにメルヘンチックです。
太陽を抱く月のあらすじとネタバレ含む感想・見どころは?まとめ
このドラマは架空の朝鮮王朝に生きる王が主人公なので韓国の歴史に詳しくなくても気軽に楽しめます。
また全体を通して衣装の美しさやロマンチックなシーンなどはまるで少女漫画を読んでいるような不思議な感覚としても楽しめます。
最初と最後は特に幻想的で、思わず心が温まり笑顔になれるようなシーンで締めくくられているので、見終わった後の穏やかな余韻に浸れるものとなっています。
全話20話で、終盤に近づくに連れ先が気になって一気見してしまうレベルです。
そんな空想ファンタジー史劇を見たい人には本当にオススメのドラマです。